
健康に生きるには? どう生きるかはあなた次第
「生涯健康に生きる」ことは、おそらくすべての人々が望むことでしょう。では、「生涯健康に生きる」ことは可能なのでしょうか。健康とは、WHO、世界保健機構の定義でも示されていますが、もはや病気ではないことを指すわけではありません。今回は、生涯自ら主体的に生きることが、「(特に精神面において)健康に生きる」ことに繋がる、というお話をしたいと思います。
ストレス対処力(SOC)とは?
ストレス対処力は、首尾一貫感覚(sense of coherence;SOC)のことです。
少し難しい表現ですが、正式な定義は
『その人に浸みわたった、ダイナミックではあるが持続する確信の感覚によって表現される世界規模(生活世界)の志向性』を表します。
浸みわたる・・・全身に、じわっと全体に広がっている感じ
感覚・・・・・・・ここでは、自分自身の内側、認識に近い考え方です。
志向性・・・・・価値や目標の方向性、意識や心が必ず何かに向かって働く性質があることから表わされます。
かみ砕いて説明すると、物事をどのように捉える傾向にあるか、という、その人らしさの一つと言えます。
こんな性格だよね、的に分かる、という基本姿勢とお伝えすれば、お分かりいただけるでしょうか。
ストレス対処力の成り立ち・中身
ストレス対処力(SOC)は主に次の3つから成り立っています
「把握可能感」:課題(ストレッサー)が生じている理由、何がストレッサーなのかを見つけることや、今後どのような課題が生じるのか、自分で納得のいく
説明ができるという認識・考え方です。
【障壁の構造を理解できるという「了知(さとり知ること)」】
「処理可能感」:課題(ストレッサー)に対し、自分には有効な方法(対処資源;SOCでの考え方の中では汎抵抗資源といいます)がある程度十分
にある、と思えることと、自分自身でその方法を活用して対処できる、という認識・考え方です。
自己効力感に近い考え方でもあります。
【課題を自己解決できそうという「見通し」・目標を達成できる能力があるという「確信」】
「有意味感」:自分が直面している課題(ストレッサー)は、解決に向けて努力すべき価値がある、または苦労すべき価値がある、または挑戦すべき価値
がある、と判断できるという認識・考え方です。
【生きる目的や「使命感の芽生え」・困難は取り組むべきという「悟り」】
なお、ストレス対処力は、健康生成論という健康をとらえる理論の中心的な考え方です。
この理論についてのお話は、別に譲りますが、この理論において、
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①自分に有効な方法(対処資源・汎抵抗資源)をどのように活用していくか、
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②どのようにストレス対処力(SOC)が生涯成長していくのか、
という流れも示されています。
ストレスを感じないことはできる?
では、実際にどのように、私たちはストレッサーと向き合えば良いのでしょう。実は方法は1つではありません。いくつか具体例をお話ししましょう。
もっとも効果的なこと、それはズバリ、「逃げるが勝ち」です。
ストレッサーとは、「嫌なこと、しんどいこと、だけでなく、ご自身の現在の人的、物的環境の状態に何らかの外圧を与えてストレスを感じる要因全般のこと」を指します。人は変化に弱く、現状維持することに安寧さを感じやすいため、この「外圧」から逃げられるなら、逃げてしまうことが、一番効果的です。
とはいえ、日常はご承知の通り、逃げられないことばかりです。
なので、限定的に感じないときがある、「ストレスフリー・ノーストレス」状態になることはあり得ますが、持続しません。
なぜなら、人は常に歩み続ける生き物で、ご自分も、周囲も、常に変化し続けるからです。昨日眠れたから今日眠れる保証もないですし、天変地異が数分後に起こる可能性もゼロではないから、とお伝えすれば、ご理解いただけるでしょうか。
だから、人は日常的にストレッサーと向き合い続けなければならない状態で、日々生活しています。
なので、「ストレッサー」と向き合ったときに、どのように捉えたら心が軽くなるのか、そのヒントをお伝えしましょう。
ストレス対処を健康的にできるコツ
「把握可能感」:【障壁の構造を理解できるという「了知(さとり知ること)」】
「ストレッサー」の具体的な理由を、できるだけたくさん、かつ詳細にご自身で見つけることが鍵です。
しんどくて、辛い出来事、「ストレッサー」。
その問題の本質は、見つかっているのでしょうか。
たとえば、昇進・進学といった環境の変化での漠然とした「ストレッサー」の正体は、新たな場所での環境の把握がうまくできていない、友人がすぐに作りにくい、といった具体的な課題を見つけられるでしょうか。
ご家族の介護の「ストレッサー」は、身体的な行いづらさでしょうか、夜中も呼ばれてしまうことでしょうか、といった具体的な課題を見つけられるでしょうか。
子育ての苦悩の「ストレッサー」は、どのように子どもと向き合ったらよいか分からなくなった、といった具体的な課題を見つけられるでしょうか。
まずは漠然とした課題を見える化することにエネルギーを使ってみましょう。
「処理可能感」:【課題を自己解決できそうという「見通し」・目標を達成できる能力があるという「確信」】
「ストレッサー」をご自身で解決できるかもしれない、という見通しを持つことが鍵です。
しんどくて、辛い出来事、「ストレッサー」。
それは、あなたが本当に解決できない課題でしょうか。
たとえば、昇進・進学という環境の変化による「ストレッサー」は、環境の把握を取り組む術を学ぶことで解消できるかもしれません
ご家族の介護の「ストレッサー」は、安楽な介助方法を習ったり、昼間に体を動かしていただけるような仕掛けや、医師へ相談して夜間寝ていただけるような調整など、対応策を検討していくことで、解消できるかもしれません
子育ての苦悩の「ストレッサー」は、同じ経験のある方からの経験談などから、対応策を検討することで、解消できるかもしれません。
他の人はどんなふうに解決しているのか、誰に頼れば解決策を教えてもらえそうなのか、自分なら、ヒントを元にどんな風にアレンジして解決していけそうか、といった解決策を考えることに、エネルギーを使ってみましょう。
「有意味感」:【生きる目的や「使命感の芽生え」・困難は取り組むべきという「悟り」】
「ストレッサー」に取り組む意味づけをしてみること、何か降りかかった、他責ではなく、ご自身で為すべきものである、と捉えることが鍵です。
しんどくて、辛い出来事、「ストレッサー」。
それは、あなたにとって、どのような意味を持つものでしょうか。
たとえば、昇進・進学、といった環境の変化は、取り組むべき価値のあるもの、ではありませんか?
ご家族の介護は、ご自身にとり、どのような意味を持つものでしょうか。この経験がもたらす未来が見えますか?
子育ての苦悩の先に、お子さんの成長というご褒美だけでなく、ご自身の生き方にも、気づきが生まれるのではありませんか?
なぜこの「ストレッサー」が生じており、取り組む意義は何か、ということにエネルギーを使ってみましょう。
まとめに代えて
ストレス対処力(SOC)は、3つの構成要素「把握可能感」「処理可能感」「有意味感」をバランス良く活用することで、『健康に生きる』ことを支え、進めていく考え方、感じ方です。
文章にすると、とても難しく聞こえますが、実は日常的に皆さんが行っていることでもあります。
ただ、効率的・効果的に、活用することが難しいので、『分かっているけど無理』とストレス対処に失敗してしまう日常になりがちです。
活用方法は、また別の機会に、ゆっくりお話ししたいと思います。
