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ストレッサーとの向き合い方④ ストレス対処力とコーピング
執筆者アイコン金魚ばち2026年4月22日 07:15

ストレッサーとの向き合い方④ ストレス対処力とコーピング

様々なストレッサーとの向き合い方に、ストレス・コーピング、コーピングスキルという手段・技術があります。 どのようにストレッサーと向き合うのか、方法をまとめてお伝えすると共に、どの方法を活用するか、その選択のときに活用する、ストレス対処力(SOC)について、概要をお話します。

コーピング、ストレス・コーピング、コーピングスキルはご存じでしょうか

色々な言葉があり、どれも似ているような、異なるような感じで、よく目にする単語だと思います。

どれもストレッサーに対応するために必要な技術です。まずは、言葉の整理をしましょう。

コーピングとは

 「コーピング」という言葉を、一番最初に使用したのが、Lazarus & Folkmanです。全文の日本語訳の本が心理学者の本明らによって出版されています。

彼らは、自身が何かに困ったときに、対処する能力を「コーピング」と呼びました。つまり、「ストレスに対処するための認知的・行動的努力」がコーピングであると定義したのです。

現在、一般的には、ストレッサーとどのように向き合うか、という基本姿勢として、この「コーピング」という言葉を使っています。

困った状況や気持ちに向き合うための「工夫」や「やり方」全般を指します。

 

具体的な方法としては

  • ・気分転換をする

  • ・誰かに相談する

  • ・物事の考え方、捉え方を変える などが挙げられます。

ストレス・コーピングとは

 「ストレス・コーピング」という言葉は、心理学者のLazarus & Folkmanでも用いられていますが、精神的なストレッサーに特化した対処に焦点を当てた言い方とされています。

コーピング・スキルとは

 「コーピング・スキル」という言葉はLazarus & Folkmanの研究をもとに心理学者のStanisławskiが具体的な対応策として、その方法を整理しています。

日本では、心理教育にて、生活内で具体的に行える技能という取り扱いで用いられます。

 

つまり、これら3つの単語は、とても内容が類似している、ということがお分かりいただけたと思います。

ここでは、ストレス・コーピングという精神的なストレッサーに特化した対処に焦点を当て、具体的な技術をご紹介したいと思います。

ストレス・コーピングの種類

代表的なストレスコーピングには「問題焦点型コーピング」と「情動焦点型コーピング」です。

「問題焦点型コーピング」は、主に解決可能な見込みがある課題に用いられ、ストレッサーそのものを対処し解決する方法のことです。

「情動焦点型コーピング」は、解決困難が予想される課題に用いられ、趣味活動など、楽しいことを行うことで代償的にストレッサーと向き合う方法のことです。 

ですが、先ほど登場した Lazarusは8分類にコーピングを詳細に示しています。1つずつ見ていきましょう。

1.計画型コーピング

 冷静に状況を分析し解決のための計画を実行する技能です。

対処するときに一度どのように動くのか、段取りを考える過程を考えから実行する流れを指します。

2.対決型コーピング

 リスクを恐れず、積極的に状況を変えようとする技能です。

何が何でも解決できることなら、ハイリスクな方法であっても、回避せずに、対処することを指します。この際、対処失敗や他の課題が生じたときは、改めて別の方法を検討し直すことになります。

3.社会的支援模範型

他者に助言や情緒的サポートを求める技能です。

自ら対応を考えるのではなく、まず他者の意見を求めます。また情緒的サポートとは、精神的に自分を下支えしてほしいと望みます。他者からの意見をもとに、ストレッサーと向き合うので、しばしば「○○さんに言われた通りにした」的な反応です。失敗した場合は、意見をした人に、また相談する流れなどが考えられます。

4.責任受容型

 問題における自分の責任を認め反省する技能です。

問題が生じたのは自分の技量不足、と考えて自己の内省が深まります。

内省して、対処方法を決められるかどうかが、鍵です。

5.自己コントロール型

感情や行動を律し、動揺を抑える技能です。

他者の過ちに関しても、すぐに攻撃的に指摘でずに、問題と冷静と向き合える能力とも言えます。

冷静に課題と向き合った結果、対処する技能を選ぶことになります。

6.逃避型(回避型)

問題から一時的に目をそらしたり、現実逃避する技能です。

課題すべてと真摯に向き合うと疲弊します。様々な課題を一人ですべて請け負うのではなく、今すぐに一人で解決できる事柄を続けることは大切ですが、あえて、すぐに取り掛からずに程よく課題を先送りすることを指します。

解決するときを待つ、姿勢です。

7.距離を置く型

 冗談にするなど、問題と自分を心理的に心理的に引き離して、客観的に課題と向き合おうとする技能です。

まるで他者が行った行為だと思うように、第3者的な視点で眺めることができることを指します。

逃避型は、完全に考えませんが、こちらは考え続け、その結果どのように解決するか、技術を選ぶことになります。

8.肯定的再評価型

経験から肯定的な側面を見出し、自己成長に繋がるように対処できる技能です。

どんな経験もポジティブに読み替えることができることを指します。

これも、どの技術があるとを選択するか、選ぶことになります。

ストレス・コーピングとストレス対処力との関係性

ストレス対処力(SOC)とは?

ストレス対処力(SOC)は、簡単に一言でお話すると、「人が健康で居続けるために必要な物事の捉え方」です。

少し横道にそれますが、世界保健機構(WHO)では健康の定義として

**「身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態であり、単に病気や虚弱でないことではない」**と示しています。

つまり、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態にたもつために、ストレス対処力(SOC)が必要であり、実はすべての人にすでに備わっていて、一生成長し続ける物事の捉え方です。

 

ストレス・コーピングとストレス対処力(SOC)の関係

 お気づきになられたかもしれませんが、ストレス・コーピングは、ストレス対処力(SOC)のある一部の技能を取り出して説明しています。

 

例えばストレッサーに直接対応する方法でしたり、ストレッサーとの距離の取り方でしたり、他者からの意見という資源の使い方でしたり、ストレッサーと向き合う意味付けなど、実際私たちは、とあるストレッサーに対し、様々な角度からアプローチをしながら、日々苦悩と喜びを得ているからです。

 

ストレス対処力(SOC)の具体的な認識、作用などのお話は、まとめて別にお話ししますが、どのような課題がきても、ストレス対処力(SOC)がうまく機能すれば、常に「健康」になれるはずです。

 

まずはご自身の生きる指針として、かつてご自身で解決できたストレッサーと、そのときどのように考えて対処できたのか、振り返ることから始めてみましょう。

 

 

 

参考文献

・Lazarus & Folkman, 1984 本明・春木・織田監訳 1991 ストレスの心理学: 認知的評価と対処の研究 URLは登録されていません
・高本真寛,相川充:コーピングとコーピング評価が精神的健康と後続のコーピングに及ぼす影響.心理学研究83(6),pp566-575,2013
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/83/6/83_566/_article/-char/ja/
・The Coping Circumplex Model: An Integrative Model of the Structure of Coping With Stress.Stanisławski, K. (2019).
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31040802/
・Stanisławski, K.:The Coping Circumplex Model: A Theoretical Synthesis of Coping Constructs and Its Empirical Verification
https://www.researchgate.net/publication/367412488_The_Coping_Circumplex_Model_A_Theoretical_Synthesis_of_Coping_Constructs_and_Its_Empirical_Verification
・山崎喜比古・戸ヶ里泰典(監編): 健康生成力SOCと人生・社会ー全国代表サンプル調査と分析: 序章 ストレス対処・健康生成力SOCの概念的基礎.有信堂 3⁻24,2017 URLは登録されていません

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