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「ストレッサー」との向き合い方③  疲れとの向き合い方
執筆者アイコン金魚ばち2026年4月15日 06:00

「ストレッサー」との向き合い方③  疲れとの向き合い方

新年度が始まり半月、新入職員への対応をしている先輩、上司と呼ばれる方々、学校の先生のみなさまも、緊張した日々をお過ごしと思います。 ところで、「疲労」って何で成り立っているか、ご存じですか? 今回は、この「疲労」を知り、どう向き合うかについてお話します。

そもそも「疲労」って何でしょう?

唐突ですが、「疲れた」と感じることはありますね。

では、その疲れた、「疲労」の正体は何かご存じでしょうか。

 

諸説ありますが、要約すると

人が壊れてしまう前に発する生体反応、生理現象です。

「過度の肉体的および精神的活動によって生じる作業能率や作業効率が統計的有意に低下した状態」とお堅く語り、真面目に研究できる現象ともいえるようです。

 

今回は、心の疲れ、「精神的疲労」に絞ってお話ししましょう。

人は疲れる生き物です

少し禅問答的になりますが、東京女子大学名誉教授の佐々木能章が、疲れを哲学的観点から眺めています。

 

疲労を人が感じるとき、つまり『疲労感』とは、どういう認識なのでしょうか。

また、疲労感は排除すべき感覚、認識なのでしょうか。

 

いくつか例をあげましょう。

 

  • 美容室でストレートパーマをかけるとき、かなり長時間、じっと座り続けることを求められます。私は強度の近視のため、メガネを外すと暇つぶしに渡される週刊誌を読むことができず、周囲もぼんやりしているときの『疲労感』

 

  • 一生懸命試験勉強をしているときの『疲労感』

  • 難問にぶち当たり、解決の糸口が見つからないときの『疲労感』

 これらの『疲労感』の程度とネガティブ、ポジティブさは異なるのではないでしょうか。また、ひょっとしたら、『疲労感』を感じない方もいらっしゃるかもしれません。

 

佐々木は、哲学者のレヴィナスの難解な疲労についての捉え方を、要約して以下のように説明しています。

「何かをなそうとしても叶わず、それにも関わらず執着する場面での人間との存在のズレが疲労なのだ」

 

つまり、『疲労感』は何かをしようと取り組むことで生じる可能性がある、ので私たちは生きている限り、疲労感はずっと存在するものであることが分かります。

だから、人は疲れる生き物なのです。ですので、特に精神的疲労とは、常に仲良く折り合いをつける必要があります。

 

『疲労感』を言い換えてみましょう

 疲労感は、常に折り合いをつけて仲良くすべき経験であると、お伝えしました。

仲良くするためのコツとして、別の言葉に置き換えてみましょう。

これは何かをなそうとしている最中の、ご自身の感じ方、捉え方について目を向ける、思考の切り替えにあたります。

 

「必死に何かに取り組んでいるときに、そんな悠長なことを言って!」など、また苦言をいただきそうですが、この気持ちの切り替えこそが、ご自身をご自身で守る、自衛する鍵なのです。

鍵の正体は、今は話が逸れてしまうので、のちほどお話ししますね。

 

美容室でのひとこま

私のあげた疲労感の例ですが、ストレートパーマをかけている最中の『疲労感』は.........

 

『することがなくて退屈』

『座っているお尻や腰が不快』

『動かないことが苦痛』

『のどが渇いた』

『実はトイレにいきたい』etc.

 

どうでしょう、次に何をすべきか、わかりやすくなったと思いませんか?

退屈なら、退屈しのぎに、周囲の会話に耳を傾け、一人で突っ込みをいれる、体の痛みや無動であることが不快なら、座り直したり、体を動かす意味で、トイレにいきたいと訴えてみる。のどが渇いていたら、お茶を飲みたいと申し出る、など対応が見えてきますね。

 

勉強中のひとこま&難問に取り組んでいるときのひとこま

 さて次は勉強中の『疲労感』です。勉強の成果は、いかに知識を記憶するか、と知識を活用できるか、だと思います。

『内容がしっかりわかるようになった』

『ちゃんと覚えられている』など

ご自分が想定しているように記憶したり問題が解けたりすると、『疲労感』 は『爽快感』「達成感」として心地よさをもたらすものでしょう。そして、この『爽快感』を得たくて、さらに勉強に取り組みたくなるはずです。

 このように『疲労感』は、私たちの喜びをもたらす、よい側面を持ちます。

 

しかし、勉強に行き詰まり、成果が上がらないときの『疲労感』は『絶望感』『無力感』を産みますね。

『内容がよくわからなくて考えることが大変になってきた』

『みんなはもっと簡単に分かっているかもしれないのに、何度も同じことをしている』 と感じるときです。

難問に取り組んでいるときも、同様に解決策が見つからないときも、同じように『絶望感』『無力感』を産むことでしょう。

『この難問は、解決のしようがない』

『次から次へと問題が積みあがっている』など感じるときです

 

ここが、『疲労感』が『爽快感』や『達成感』として、よい側面になるか、『絶望感』や『無力感」といった負のエネルギーに変わるか、の分かれ道です。

分からない勉強も、大きすぎる難問も、いつかは理解できる、と己の『能力』を信じられれば、『疲労感』は次の行動へのエネルギーに変わります。

さらに言えば、次の切り口を考える『能力』があれば、相談ごととして認識している、様々なストレッチャーの対処と、同様に次の行動へのエネルギーとして活用します。

 

 もう無理、となると、ネガティブな強い負の『疲労感』としてのしかかるのです。

『疲労感』との向き合い方~ストレッサーとの向き合い方~

 疲労感の正体について、語りました。

これも立派なストレッサー、ストレスを発生させる原因です。

では、精神的疲労とは、どのように向き合うことが、望ましいのでしょうか

※身体的疲労は、まずは体を休める、これに限りますので、ご注意くださいね。

 

先ほど、何かをなそうとしている最中の、ご自身の感じ方、捉え方について目を向ける、思考の切り替えをすることが、自衛である、とお話しました。

そして、この思考の切り替えが、自身で自分を守る、自衛の表れであり、よい生き方につながる、鍵であるともお伝えしました。

 

この鍵は、ストレス対処力(SOC)の、「把握可能感」、課題が何なのか、己で適切に把握する能力を活用することです。

自分の日常生活や人生において直面する問題が、何に由来するのか、や、何が起ころうとしているのか、ということについて、納得のいく説明をつけられる能力であり、そう考えられる認識の力を指します。

なぜ自分が『疲労感』を感じている状態なのか、その根幹にある問題は何か、を言い換えることでより明確に認識できるようになります。

内容が分かったら、その課題が自分にとって努力のしがい、苦労のしがい、挑戦のしがいがある、と認識できること、つまり自分にとって意味があると思える「有意味感」が感じられたとき、その課題と適切に向き合うことができるのです。

 

ストレッサーとの向き合い方は、あとからうまくなります。

このストレス対処力SOCは、様々な経験を積み重ねることで、一生成長する能力とされています。

お1人で気持ちの切り替えが大変、ということも最初はあり得ます。そんなときは、是非、誰かに辛さを相談してみてください。

公認心理師は、こんな気持ちの切り替え方を一緒に考える専門職です。

 

新年度、様々な精神的疲労と、上手に向き合い、皆さまが楽しい日々を過ごせるよう、願っています。

 

 

参考文献

・佐々木能章:疲れた人々.感性工学, 2010
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kansei/10/1/10_18/_article/-char/ja/
・吉原一文:疲労・倦怠感及び慢性疲労症候群の病態. 心身医学, 2017
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/57/3/57_282/_article/-char/ja/
・疲労のメカニズム|健康科学イノベーションセンター
https://share.google/4LQswSLKUVK9Sl0dZ
・山崎喜比古・戸ヶ里泰典(監編): 健康生成力SOCと人生・社会ー全国代表サンプル調査と分析: 序章 ストレス対処・健康生成力SOCの概念的基礎.有信堂 3⁻24,2017 URLは登録されていません

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