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職場で相談できない若手の本音|「相談しなかった」20代の35.2%が退職した現実と、今すぐできること
執筆者アイコン佐々木いちなり2026年6月8日 23:48

職場で相談できない若手の本音|「相談しなかった」20代の35.2%が退職した現実と、今すぐできること

入社2年目のAさん(26歳・女性)は、毎朝駅のホームで足が止まるようになっていた。 職場ではいつも笑顔で、「なんでも頑張ります」と言っていた彼女が、ある月曜日の朝、突然退職届を提出してきた。上司も同僚も、誰も気づいていなかった。面談で話を聞いてみると、「相談したら迷惑だと思って…ずっと一人で抱えていました」と泣きながら話してくれた。 こういったケースは、決して珍しくない。     「最近ミスが増えた気がする」「本当はつらいけど、上司には言えない」「相談したら評価が下がるんじゃないか」――。そんな不安を胸に、今日も笑顔で出社している若手社員が、あなたの職場にもいるかもしれない。

「大丈夫です」の一言の裏側に、何があったのか

入社2年目のAさん(26歳・女性)は、毎朝駅のホームで足が止まるようになっていた。

職場ではいつも笑顔で、「なんでも頑張ります」と言っていた彼女が、ある月曜日の朝、突然退職届を提出してきた。上司も同僚も、誰も気づいていなかった。面談で話を聞いてみると、「相談したら迷惑だと思って…ずっと一人で抱えていました」と泣きながら話してくれた。

こういったケースは、決して珍しくない。

 

 

「最近ミスが増えた気がする」「本当はつらいけど、上司には言えない」「相談したら評価が下がるんじゃないか」――。そんな不安を胸に、今日も笑顔で出社している若手社員が、あなたの職場にもいるかもしれない。

 

 

パーソル総合研究所の「若手従業員のメンタルヘルス不調についての定量調査」(2024年)によると、職場にメンタル不調を相談しなかった20代のうち、35.2%が退職しており、他年代より退職率が高いことが明らかになっている。 Persol-group

 

 

数字で見るとシンプルに見えるが、その裏には一人ひとりの「言えなかった理由」がある。この記事では、若手が相談できない構造的な背景と、職場や本人が今すぐできることを整理していく。

 


若手社員を取り巻く現実――数字が示す「見えないSOS」

20代のメンタル不調経験者の退職率は約36%

まず、データの全体像を確認しておこう。

 

パーソル総合研究所の調査では、過去3年以内のメンタルヘルス不調経験者(当時正規雇用者)のうち、勤務先を退職したのは全体で25.3%。20代に絞ると35.9%と他年代と比べて突出して高く、退職しやすい傾向が確認されている。

 

30代・40代の退職率が2割前後であることを考えると、20代だけが際立って高い。これは「若いから気持ちの切り替えが早い」といった話ではない。社会人経験が浅い時期ほど、仕事の悩みを自分一人で処理するスキルが十分ではなく、逃げ場を失いやすいのだ。

 

相談しなかった人の35.2%が退職している

 

さらに注目したいのが、「相談するかどうか」で退職率がどう変わるかという点。

 

メンタルヘルス不調経験者が相談しなかった場合、20代の退職率は35.2%にのぼる。一方で、メンタルヘルス不調を職場に相談した後、76.8%は「相談に乗る」「業務負担の軽減」「医療受診の勧奨」といった問題解決を支援する対応を受けているとも報告されている。

 

つまり、「相談しても無駄」という思い込みが、実態とはかなりかけ離れている可能性がある。相談した人の多くは、ちゃんと何らかのサポートを受けている。それでも「どうせ変わらない」と感じてしまうのには、それなりの理由がある。

 

「相談できない」を作り出している職場の空気

 

正規雇用者の約4割が「職場にメンタルヘルス不調を相談したら自身の評価が下がる」「職場に居づらくなる」と認識しているとも報告されている。20代では他年代よりこの傾向がやや高く、若手で強いキャリア不安や仕事上の失敗への恐れが影響していると考えられている。 HRzine

 

制度が整っていても、「空気として相談しにくい」職場は確かに存在する。入り口としての環境よりも、「話してよかった」と感じられる受け皿があるかどうかが問われているのだ。


若手社員がメンタル不調を相談できない4つの本音

①「評価が下がりそうで怖い」

前述したように、約4割の正規雇用者が評価への影響を懸念している。特に入社数年以内の社員にとって、まだ実績が少ない時期に弱みを見せることは、自分のキャリアを傷つける行為に感じられやすい。

 

「相談して、重要なプロジェクトから外されたら終わりだ」と話してくれた入社3年目の男性がいた。彼は結局1年半、誰にも言えないまま過ごし、ある日突然起き上がれなくなった。

 

責任感が強い人ほど、自分の状態よりも評価や業務継続を優先してしまう。その「真面目さ」が、回復のタイミングを遅らせることがある。

②「弱いと思われたくない」

「しっかりしなければ」「もっと頑張れば乗り越えられるはず」という思考が、助けを求めることを遠ざけてしまうケースも多い。

 

これはいわゆる「タフであること=美徳」という職場文化の影響とも言えるかもしれない。メンタル不調は意志の問題ではなく、心身のエネルギーが限界に近づいているサインだと言われている。風邪をひいたときに病院に行くことを「弱さ」とは言わないように、心の不調も同じだ。

 

ただ、そう頭でわかっていても、感情がついてこないことがある。その複雑さを責める必要はない。

③「迷惑をかけたくない」

現場の人員が少ない職場ほど、この傾向が強くなる。「私が休んだら誰かに皺寄せがいく」「心配させたくない」という気持ちは、優しさから来ているだけに、止めようとしても止まらない。

 

ある30代の先輩社員が言っていた言葉が印象に残っている。「若手が倒れるまで頑張ったことに気づかなかった。

 

もっと早く声をかけていれば、と今でも思う」。

 

周囲も気づいていないことが多い。本人だけが一人で抱え込んでいる構造が、職場全体のリスクになっている。

④「相談しても解決しないと思っている」

不調を職場に相談しなかった理由として最も多かったのは「相談しても解決につながらないと思った(34.5%)」という回答だった。

 

また、正規雇用者の約4割が「職場で相談しても相談後の職場の対応イメージがない」と回答している。 Webtan

 

過去に「ちょっと休んでまた頑張ろう」で終わってしまった経験がある人や、上司への報告が「どうにもならなかった」経験を持つ人は、相談すること自体への期待を失ってしまうことがある。

 

相談できる窓口があることと、安心して相談できることは、全く別の話だ。


こんな症状が出ていたら要注意――若手社員向けセルフチェック

「自分は大丈夫」と思っている人の中にも、気づかないうちに消耗している人は少なくない。次のような変化が続いていないか、一度確認してみてほしい。

日常の変化

  • 朝起きるのがつらい日が増えてきた

  • 通勤のことを考えると気持ちが重くなる

  • 休日なのに仕事のことが頭から離れない

職場での変化

  • 以前は気にならなかったことでミスが増えた

  • 会議の内容が頭に入ってこない

  • メールの返信に異様に時間がかかる

人間関係の変化

  • 同僚と話すのが億劫になってきた

  • 上司の顔色を見て、本音を隠すことが増えた

  • 「大丈夫です」と言いながら全然大丈夫じゃない

3つ以上当てはまるようであれば、一人で抱え込まず、誰かに話してみることをおすすめしたい。これは「弱さ」ではなく、自分の状態を正確に把握しようとする力だ。


メンタル不調を隠し続けることで起こる「気づかないうちの変化」

はじめは小さなサインから始まる

 

メンタル不調は、最初から「もう無理」という状態で始まるわけではない。「なんとなく疲れやすくなった」「集中力が以前より続かない」という軽い変化から始まることが多い。

 

ただ、そのサインを「気合いが足りないだけ」と解釈して無視し続けると、じわじわと消耗が積み重なる。気づいたときには、出勤すること自体がギリギリの状態になっていたりする。

 

ミスが増えると自己嫌悪のループに入る

 

集中力が落ちると、当然ミスが増える。それを「自分がダメなせいだ」と責め始めると、さらにストレスが増す。ストレスが増えると余計に眠れなくなり、またミスが増える――というループが始まる。

 

このループに入った人を外から見ると、「やる気がない」「仕事が雑になった」という印象を受けることがある。でも実際には、本人は必死で歯を食いしばっていたりする。

 

「突然の退職」が起こる背景

 

パーソル総合研究所の調査では、メンタルヘルス不調による退職者のうち、職場にメンタルヘルス不調を相談した20代は45.1%にとどまることも報告されている。つまり、組織が把握する退職者数よりも、実際には約2倍の退職者が存在している可能性があると考えられている。 HRzine

 

「大丈夫です」と言い続けていた人が、ある日突然会社に来なくなる。「サイレント退職」とも呼ばれるこの現象は、限界まで我慢し続けた結果として起こることが多い。企業側からすると「何の前兆もなかった」ように見えるが、本人の中では長い時間をかけて追い詰められていたのだ。


今すぐできること――本人と周囲へのアドバイス

本人へ:まず「一人で解決しなくていい」と許可する

 

一番つらいときほど、「自分でなんとかしなければ」という気持ちが強くなりやすい。でも、そういうときほど一人で解決しようとすることが、状況をこじらせることがある。

 

まず、職場以外に話せる場所を探してほしい。

社外の相談先として活用できるところ

  • こころの耳(厚生労働省):電話・SNS・メールでの相談窓口。働く人のメンタルヘルスを専門にした無料相談サービスが利用できると言われている。  → https://kokoro.mhlw.go.jp/

  • 心療内科・精神科:「病院に行くほどでもない」と思っていても、一度受診してみることで状況が整理されることがある。

  • 産業医・EAP(従業員支援プログラム):会社によっては、秘密厳守で相談できる社外のカウンセラーに繋いでもらえる制度があることも。

一度、自分の選択肢を書き出してみる

「退職するかどうか」という二択になってしまう前に、他の選択肢を整理することが有効だと言われている。

  • 配置転換・部署異動を申し出る

  • 有給休暇を数日まとめてとってみる

  • 休職制度を使って回復期間を設ける

  • 担当業務の量や内容を上司に相談する

退職が悪いわけではない。ただ、「退職しか選択肢がない」という状態は、心身の疲弊が判断力を狭めているサインである可能性がある。

周囲への一言の重みを知っておく

 

「なんか最近元気ないね、大丈夫?」という一言が、人を救うことがある。特別なスキルは要らない。

ただ、「話を聞いてあげた」あと、その人に「強くなれ」「気合いが足りない」というメッセージを無意識に送っていないか、振り返ることも大事だ。


企業が変わらなければ、個人の努力には限界がある

1on1ミーティングを「形式」にしない

 

定期面談を設けている企業は増えているが、「特に問題ありません」で終わる1on1ほど意味がないものもない。

 

「最近どう?」ではなく、「今の業務で一番しんどいのはどこ?」という具体的な問いかけの方が、本音が出やすいと言われている。

心理的安全性は「制度」ではなく「日常」で作られる

 

失敗を報告したとき、頭ごなしに怒られた経験が一度あるだけで、人はなかなか次の報告をしなくなる。「相談してくれてよかった」「話してくれてありがとう」という一言を、管理職が習慣として持てるかどうかが重要だと思う。

 

管理職自身がメンタルヘルスを学ぶ

 

部下からSOSを受け取った管理職が、対応方法を知らなかったために「それくらい頑張れ」と言ってしまった、というケースは少なくないと言われている。相談を受け止める側の教育もセットで行わないと、せっかくの制度が機能しない。

 

相談後に不利益が生じない仕組みの整備

 

正規雇用者の約4割が「相談したら評価が下がる」「職場に居づらくなる」と感じているという調査結果がある。この不安が解消されない限り、どれだけ「気軽に相談してください」と言っても届かない。 HRzine

 

人事評価への影響がないことを明示する、相談した人が実際に適切なサポートを受けられたという事例を共有する――といった取り組みが、地道に信頼を作っていく。なかなか公言しづらいとろこではあるが、そういったプロセスを共有できるデーターの資産を作ってほしい。これは若手への安心のメッセージとなることもあるし、古株の人の情報の伝え方のスムーズさにもつながると思う。以前は飲みミーティングなどで行っていたかもしれない。しかし、時代は変わる。正式な文書となると抵抗あるかもしれないけど、そのあたりを伝えられるといいかもしれません。

 

全然関係ないことですが、副業については相談してくださいという会社でしたが、副業全然Okてきな会社でした。

意外と叶うことはありますし。メンタルヘルスに関しては企業が担うものがありますのでそのあたりは相談可能です。

 

休職者見てきましたが、今まで通り働けています。

もちろん調子崩すと1っか月休職する場合もありますが。

 


若手が辞めるのは、誰の問題か

正直に言えば、「個人の問題」でも「企業の問題」でもなく、両方が重なっている。

 

個人には、自分の状態に気づき、助けを求める力が求められる。それは「甘え」ではなく、自分のキャリアと健康を守るための必要なスキルだ。一方で企業には、「相談できる環境を整える」という義務がある。制度だけでなく、日々のコミュニケーションのあり方そのものを問い直すことが求められている。

どちらかだけが変わっても、根本的な解決にはなりにくい。


まとめ――「言えなかった」が「話せた」に変わるとき

パーソル総合研究所の調査によれば、職場に相談しなかった20代のうち35.2%が退職しており、他年代より退職率が高いと報告されている。 Persol-group

 

この数字を見て「自分は大丈夫」と思う人もいるかもしれない。でも、「大丈夫じゃない」と感じているのに言えない人が、今日もどこかの職場にいる。

相談することは、弱さではない。限界を自分で認識して、適切な手を打てることは、むしろ仕事においても大切な力だと言えるかもしれない。

 

もし今、「誰にも言えない」という状況にあるなら、まずは職場の外に目を向けてほしい。こころの耳(厚生労働省)には、電話でもSNSでもアクセスできる相談窓口がある。退職以外の選択肢が、まだ残っているかもしれない。


参考文献・引用元

参考文献

・若手従業員のメンタルヘルス不調についての定量調査
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/young-mental-health/
・メンタルヘルス不調での退職、過去3年以内で25% 20代は36%と多い傾向に—パーソル総合研究所調べ
https://hrzine.jp/news/detail/6317
・「若手従業員のメンタルヘルス不調についての定量調査」を発表 若年層で増える深刻なメンタルヘルス不調
https://rc.persol-group.co.jp/news/202412241000/

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