
後ろ向きな考えやネガティブ思考が癖になっていませんか?気づき方と緩め方3選

はじめに
私たちは日常生活の中で友人や家族、仕事、学校などで多くの人々と関わり、その中で様々な出来事に遭遇しています。必ずしもそれは良い出来事ばかりではなく、当人にとっては辛い出来事やネガティブなことが続いてしまえば、自然と頭に浮かんでくる考えやイメージもまた、否定的になってしまうのではないでしょうか。自分ではコントロールできないうちに気持ちや考えを判断してしまうことを自動思考といい、それらが否定的なものばかりに偏ってしまえば気分が落ち込み、抑うつ状態にまでなってしまうかもしれません。
心の仕組み
瞬間的に浮かぶイメージを判断する
私たちは日常において、さまざまなイメージを持つことが多く、一つ一つを丁寧に考えるよりも、瞬間的な判断で物事を認識することの方が多いでしょう。
例えば「赤いリンゴ」を見て、
「赤くて丸く瑞々しい、過去の経験から判断すればリンゴであるだろう。食べてみれば詳細が分かる」
などとは、わざわざ考えません。自動的に*「美味しそう」「リンゴだ」*と考えているのではないでしょうか。
こうした判断はとても自然なことですが、その判断が一方的になっていたり偏っていたりすることに自分で気がつける人は少ないかもしれません。
自動思考は人の「認知」に影響を与える
自動的に判断する思考のことを、専門的には「自動思考」と呼びます。自動思考は人によって傾向やくせがあり、これまでの人生で体験した出来事や生活環境によって形作られるでしょう。同じ出来事を体験しても人によって反応が異なるのは、それぞれの自動思考の傾向により物事のとらえ方が異なるからかもしれません。
例えば、友人に連絡をしたのに返信や既読がつかない状況を想定してみてください。「忙しいのかな?」と楽観的に捉える人もいれば、「自分に興味がないのではないか」と悲観的に捉えてしまう人もいるでしょう。
精神医学では物事のとらえ方や事実の受け止め方を「認知」と表現します。自動思考はさまざま認知に影響を与え、認知の違いがその後の思考や行動の違いとして現れます。
自動思考にある認知の歪み
認知の歪みはこうして生まれる
認知が偏ったり一方的になってしまったりする原因を突き止めるのは非常に難しいです。正直、わからないことも多いですが、幼少期や若い頃の辛い体験が原因の場合が多いように思います。辛い思いをした人たちは、
「自分は誰にも必要とされず、愛されない」
「人は自分を傷つけ、バカにする」
「自分に価値がない」
という信念を持ちやすく、それが認知を歪ませる原因となってしまうでしょう。あらゆる状況で自動思考として偏った判断に表れ、認知が強すぎるせいでより孤独を強めていく生き方になってしまうかもしれません。
代表的な認知の歪み
“全か無か思考” ・・・ 物事を極端に捉えすぎる
“過度な一般化” ・・・ ちょっとした出来事でも、それが全てだと思う
“フィルター化” ・・・ 否定的な色眼鏡をかけて、物事を客観視しない
“べき思考” ・・・ 自分のルールで自分や他人を縛ってしまう
“レッテル貼り” ・・・ 勝手に自分や相手にレッテルを貼り、それを変えない
自動思考には特有のパターンがあり、認知の歪みとしていくつかに分けることが出来ます。ここには一部分だけ載せましたが、どのパターンに当てはまるかを知れば、認知の歪みを改善するのに役立つでしょう。
認知が変われば世界が変わる
適応できていない認知を変える認知行動療法
あらゆる場面で自分の行動や言動をコントロールできない自動思考のうち、気分がしずみやすい思考を「非適応的な認知」と呼びます。根拠のない憶測や一方的な想像から、物事を悪い方向に結論づける傾向のことです。反対に物事にかたよりがなく、自然体で受け入れられるのが「適応的な認知」です。自分の適応できていない認知に気づいて、修正していくのが認知行動療法という方法になります。
認知行動療法は失敗したことに落ち込んだとしても、「何をやっても駄目だ」という根拠の薄い判断を自覚しながら、その歪みに気が付いていくことです。自分の強みや受け止め方の傾向に気が付いて実際に行動を起こせば、新たな認知に気が付くことができるかもしれません。
認知行動療法における認知再構成法
認知再構成法は、認知行動療法の中心的な要素の一つです。認知行動療法は、感情と行動は思考に密接に関わっているという仮説に基づいています。そのため、問題に対処する際、思考パターンを変えることで感情や行動にもポジティブな変化をもたらすのが目標です。認知再構成法が果たす役割は、特にネガティブな考えがストレスや不安を悪化させている場合に、それらを緩和し、ストレスの少ない生活へとつなげることになります。
認知再構成法は、日常生活で生じる歪んだ思考を見直し、より現実的で適応的な考え方に変えるプロセスです。人間の思考は無意識にネガティブな方向に偏ることがありますが、そのような偏りを自覚し、自分自身でコントロールする習慣を身につけることを重視します。
ゆがんだ認知の変え方:レッスン
気分に直結する自動思考に気づく
物事に辛さを感じてしまう根本には、自分が無意識に繰り返してしまう考え方のクセ「自動思考」があるでしょう。実はこの自動思考を深く掘り起こしていくと、自分の癖の根幹に気づけるかもしれません。自分が気になることがらを書き出し、それを下向きに矢印をして、さらにどうしてそれが気になるかを書き出すことが必要です。いくつも下向きの矢印を繰り返していくと、自分の根幹にある考えのクセや信念に気がつけるかもしれません。
自動思考のゆがみに気づく
自動思考は物事をありのままに捉えられず、勝手に悪い方向に思い込んでしまったり、「こうあるべきだ」という固い考え方が自分を追い込んだりしていないでしょうか。無意識に自分が繰り返してしまう自動思考を見つけ、その「根拠」をあげてそれに「反証」を探してみることで、歪みに気がつけるかもしれません。
例) 私の行動が遅いから友だちに嫌われる、という自動思考
反証:「嫌い」といわれたことがないのに、決めつけていない?
根拠:「ありがとう」と感謝されることの方が多いから
「今、ここ」を大事にするマインドフルネスを取り入れる
行動や気づきによって認知の歪みを変えるだけでなく、心のとらわれ自体をなくす方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。例えば目を閉じて「今、ここ」にいることに集中するマインドフルネス(ストレス社会を生き抜く!マインドフルネスの魅力と実践法 | vivre - 公認心理師が答える相談サイト -)を取り入れてみれば、心を穏やかに整えるのに役立ちます。
実際に取り組んでみると、他のことを考えずに一つに集中するのはとても難しいです。今、この瞬間に意識を向けていると、いかに自分が多くのものに囚われているかに気が付くことができます。そうした雑念を感じることに気が付きながら、自分を苦しめる自動思考を緩めてみてはいかがでしょうか。