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「大人のASD」って何?その特徴と日々の生活で役立つヒント
ほうじ茶2026年3月3日 16:18

「大人のASD」って何?その特徴と日々の生活で役立つヒント

 

 

 

 

はじめに

 感覚が過敏すぎて音や光、匂いに苦しめられていませんか?

 失敗に敏感になりすぎていませんか?

 丁度良いくらいの空気が読めず、浮いてしまっていませんか?

 

 

あなたのその困り感は、ASDが原因となっているのかもしれません。

大人のASD(自閉スペクトラム症)ってどんなもの?

ASDの定義と概要

 自閉スペクトラム症(ASD)は神経発達症群の一つです。対人コミュニケーションや交流において生まれながらの発達の偏りや特異性を持っています。他にも興味や活動が限られていたり繰り返しこだわってしまったりする特性を持つ、症候群です。

 

 その特性の程度と、社会生活上の困難さや適応できているかどうかは、状況が必ずしも一致するとは限りません。近年ではASDを病理疾患としてだけで考えるのではなく、神経学的な多様性の一つとして理解する考え方が主流となっているでしょう。

 

 ASDは生まれつきの特性であり、育て方や環境が原因ではありません。そのため、まずはご自身や周囲がこの特性を理解し、適切なサポートを行うことが重要です。

 

ASDの主な特性と特徴

 大人のASDの特徴としてよく見られるのは、以下のようなものです

  • 社会性の難しさ: 人と上手く関われない、誤解されやすく対人トラブルになりやすい。

  • コミュニケーションの困難: 表情や言葉で自分の気持ちを伝えるのが苦手だったり、相手の気持ちを汲み取るのが難しかったりする。

  • 社会的想像力の苦手さ:他人の思いや感情を理解したり想像したりできず、自分のなかでこだわってしまう。

 その他にも感覚の過敏さや鈍感さ(特定の音や光、温度に過敏、逆に感覚が鈍い)もあるかもしれません。特に子どもの頃は、特性があっても知的能力の高さや何となくでやってこれても、大人になって仕事や責任を任されるようになると十分にまかないきれなくなるでしょう。

 

大人と子供のASDの違い

 子ども時代は家庭や学校という枠組みがあり、親や先生たちがサポートしてくれました。しかし、大人になれば誰かが進んで助けてくれるわけではなく、何でも自分で決めることが必要です。また、大人になれば様々年代の人と過ごす機会も増えてきます。多様な考え方や決まりごとの中、どんな風に自分を出していくのか折り合いをつけることも必要でしょう。

 

 周りからの見方も、“大人だからできて当たり前”と思われ、言い訳も許されません。その分子ども時代に比べて辛くなる思いは強くなってくるでしょう。さらに失敗すれば、大人はその代償が大きくなり、なおさら辛い立場に追い込まれてしまいます。

 

よくある誤解や偏見を解消しよう

 大人のASDに対しては、まだ多くの誤解や偏見が残っています。たとえば、「意図的に空気を読まない」や「融通が利かない」といった認識を持たれることがあるでしょう。しかし、これらはASDの特性によるものであり、本人がわざと行っているわけではありません。

 

 また、「ASDは子どもの頃の障害」と思われがちですが、それは誤りです。ASDは生涯にわたる特性であり、大人になってから気づくこともあります。このような誤解を解消するためには、ASDについて正しく理解し、個々の特性に寄り添うことが大切です。

 

 さらに、ASDは「障害」としてだけではなく、異なる視点や独自の思考を持つことができるという強みもあります。たとえば、特定の分野での高い集中力や記憶力は、大人のASDの方が発揮することができる能力の一例です。このようなポジティブな側面にも目を向けることで、偏見をなくし、ASDについて社会全体が理解を深められるよう努力する必要があります。

 

ASDの人の人との関わり方のタイプ

 ASDは、人とお互いに関わり合う能力や意欲に欠けやすいことが中心となる症状です。相手の社会的なシグナルを理解できなかったり、自分でパニックや感情の爆発をおこしたりと、社会的・感情的に不適切な行動を取ってしまうかもしれません。

 

 ASDはスペクトラムという言葉に内包されているように、症状一つをとっても当事者ごとにそのあらわれ方は異なっています。ASDがない人との境界が曖昧な部分もありつつ、また同じASDであっても複数の異なるタイプを持つ疾患と言えるでしょう。ここでは、人との関わりにおける困難さだけに言及し、以下の4つのタイプに分けています。

 

孤立型

 孤立型は、まるで他人がいないかのように自分の世界だけで生き、周りの働きかけに反応しないタイプです。一人で過ごすのを好み、自分に必要なときだけ人と関わろうとするところがあります。好みや服装などの独特さが目立ち、周りと違うことをあまり気にしないのではないでしょうか。

 

 男女ともにASD症状が重めな人が多く、子ども時代に発覚したり支援につながっていたりするケースが多くあります。大人になって途端に支援が切れることで、問題が顕在化するケースも少なくないでしょう。

 

 対策として、価値観のアップデートがあります。興味のないことや人に対する判断が早すぎるところがあるので、自分が一方的にしか人を見ていないことに気づき、他人への興味関心を高めてみてはいかがでしょうか。「本当に相手は自分にとって価値の低い人なのか?」「本当にそれは大したものではないのか」。考える時間を増やし考察する習慣を付ければ、今よりももう少し関心を抱く機会が増えるでしょう。

受動型

 受動型は、受け身の状態でいることが多く、自分が不明確になって流されやすいタイプです。一見すると奇妙さは少なくて目立ちにくく、トラブルも少ないとされます。しかし相手に利用されたり、支配・搾取されたりする危険も強いため、注意が必要です。

 

 女性に多い傾向で、10代での同年代間での「不適応」や「うつ」などからよく判明します。子ども時代は「大人しい子」という印象から見逃されやすく、適切な支援を受けてこられないケースも少なくないでしょう。

 

 対策として一番大事なことはアサーションです。相手に気を遣いながら自分を出せるような表現方法を練習してみるのが良いかもしれません。また、付き合う人間が多すぎると潜在的に気を遣ってしまいやすいので、あなたを理解してくれる人を厳選してみても良いでしょう。自分が出せる場の中で、「自分の軸」について試行錯誤を経つつ、徐々に探していくことが大事です。

積極奇異型

 積極奇異型は、自分のルールで積極的に他者に働きかけていくタイプです。良い面として発揮できる機会がある一方で、それ以上に一方的になったりこだわりを押し付けたりしてしまうことがよく見られます。そのため行動力がある一方で、他者とのトラブルも多くなって浮いてしまい、落ち込むことも少なくないでしょう。

 

 男性にこのタイプは多く、人間関係や恋愛関係でトラブルになりやすいとされています。相手を立てたり受け入れたりすることが苦手な一方で、自分はそれを望んだ態度を示してしまいやすいでしょう。

 

 対策としては、まずは場に応じて黙ることを身に付けなければなりません。何でも行動すればよいのではなく、適切な場に応じた態度を示すために、力を抑える練習をしてみましょう。一歩引いて周りを見ることで、他者の会話のパターンを観察し「話す」「黙る」タイミングを徐々につかむことが大事です。

形式ばった大仰な型

 大仰型は、元は別のタイプだったのが意図的に適応を図る結果、様々な相手に対し丁寧になったタイプです。しかし、とっさの時にはどうしても不自然な部分が残ってしまいます。そうした一種の過剰適応の面があり、ストレスやうつ等の精神不調になることもあります。

 

 青年期から大人に見られやすいタイプであり、比較的能力の高い人に見られやすい傾向です。非常に努力して人付き合いの仕方を学んでも、どこか自然さが抜けきれずに違和感を持たれてしまうかもしれません。

 

 対策としては、まずは直面・努力してきた自分をしっかり認めることです。他者からの評価は時に微妙な場合があっても、その自分をしっかり認めなければなりません。もし自分を否定し続けると完璧を目指そうとするあまり、実はかえって周りから浮いてしまうことがあります。完璧な人は存在しないのにそれを目指そうとすることは、返って周りと調子を合わせることが難しくなるでしょう。

 

おわりに:大人のASDと向き合うための基本的なヒント

 大人のASD(自閉スペクトラム症)と向き合うためには、まず自分自身の特性を深く理解することが最初のステップです。ASDには、対人相互作用の難しさや感覚過敏といった特徴がありますが、これらの特性の現れ方は個人によって異なります。自分の行動や感じ方について振り返ることで、日常生活での困りごとを整理し、無意識のうちに苦手としている部分を把握できるでしょう。

 

 また、専門家による診断の有無に関わらず、書籍や信頼できる情報を活用してASDの特性について学ぶことも有効です。自分に合った情報源を見つけることで、「大人の発達障害」に関する理解を深め、前向きな自己受容に繋げていきましょう。

 

 

参考文献

・宇野洋太(2022) 自閉スペクトラム症における薬物療法の位置付け_臨床精神薬理_25 URLは登録されていません
・司馬理英子(2020) 大人の発達障害[ASD・ADHD]シーン別解決ブック_主婦のとも社 URLは登録されていません

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