
スマホが脳を疲れさせる?話題の「スマホ認知症」
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スマホ認知症の定義と背景
スマホ認知症とは、スマートフォンの過度な使用によって脳が疲労し、記憶力や集中力の低下など、認知的な問題が引き起こされる状態を指します。これは正式な医学用語ではありませんが、スマートフォンが日常生活に与える影響の一例です。近年、スマートフォンの爆発的な普及からその影響は拡大しており、本来認知症を考えなくても良い年代であっても他人事ではないのかもしれません。
例えば、2010年のスマートフォン所有率はわずか約4%でしたが、2023年には96.3%にまで増加しており、多くの人がスマートフォンなしでは生活が成り立たない状況です。このような環境において、スマホ認知症のリスクが高まっています。
スマホ認知症と認知症の違い
そもそも認知症とは、記憶力や判断力、理解力などの認知機能が低下し、日常生活に支障が出ている状態の総称です。一般的な「認知症」は、脳の中で新しい情報を記憶する役割を担う「海馬」が萎縮し、新しい情報をうまく覚えられなくなる特徴があります。つまり、情報を脳に取り込む段階そのものが障害されている状態といえます。
一方で、いわゆる「スマホ認知症」は、医学的な病名ではありません。スマートフォンなどを長時間に渡って目的もなく見続け、脳に大量の情報が次々と流れ込み、脳が疲れて必要な情報をうまく取り出せなくなる状態です。記憶そのものが失われているわけではなく、「覚えているはずなのに思い出せない」「頭の中にあるのに引き出せない」といった感覚になります。
誰にでも起こりうる現代の脅威
スマホ認知症は特定の人だけに起こる症状ではありません。スマートフォンが日常生活において欠かせないツールとなった現代では、誰しもがスマホ認知症になるリスクを抱えているのではないでしょうか。特に、就寝前のスマホ使用や「ながらスマホ」が多い人は危険かもしれません。脳が休まる時間帯にも情報が入り続け、脳に過剰な負荷がかかって記憶力や集中力の低下といった症状が現れやすくなってしまうでしょう。
近年では、若者たちにも同様の症状がみられることが指摘されています。幼少期からスマホに親しんできた世代は、情報過多やブルーライトによる脳の疲労が蓄積しやすいと考えられているからです。
このように、スマホ認知症は誰にとっても身近な現代の課題であり、私たちが日常生活の中で意識的に取り組んでいかなければなりません。
原因とリスク
スマホの多用による脳疲労
スマートフォンの利用頻度が増えることは、脳が常に情報を処理し続けている状態です。特に、SNSやニュース、メッセージアプリの通知などで短時間に異なる情報を次々に処理することは、脳に過度な負荷を与え続けています。こうした状態が続いて脳が疲労を蓄積し、記憶力や集中力が一時的に低下した状態となるのがスマホ認知症の主な原因の一つです。
ブルーライトの影響と睡眠障害
スマートフォンが発するブルーライトは、脳に昼間と同じような刺激を与え、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制するとされています。特に就寝前にスマホを使用すると、眠りにつきにくくなったり睡眠の質が低下したりしてしまうでしょう。良質な睡眠がとれない日が続けば脳が十分な休息を取れず、さらにスマホ認知症のリスクを高めてしまうかもしれません。
記憶や集中力低下のメカニズム
スマホ依存は、アルコールやたばこ、ギャンブルと同様に、脳に「依存症」としての変化を引き起こす可能性があります。スマホを長時間使い続けることで、情報の整理や記憶、判断を担う前頭葉が常に刺激され、休む暇のない疲労状態に陥るからです。
さらに、スマホ操作によって得られる「すぐに結果が返ってくる」「通知が来る」といった即時的な報酬は、ドーパミンの分泌を通じて脳の報酬系を強く刺激してしまいます。この状態が続けば、スマホを使いたい衝動を抑えにくくなり、使用時間や場面を自分でコントロールする力が低下してしまうでしょう。
予防と改善策
脳を休ませる時間をつくる
スマホ認知症になっている人は、ほとんどが脳過労状態です。日々の仕事やIT機器への依存習慣によって、脳の処理能力が低下するほどに疲労を蓄積してしまっているかもしれません。そのため、まずはしっかり休んで脳にたまった疲労の回復が必要です。
たとえば1時間ごとに短い休憩を取る、夜の特定の時間帯はスマホを使用しないといった習慣が脳の休息を助けます。スマホを使えない時間が余計なストレスになってしまわないように、リラックスではなく別の用事や活動を入れてしまうのもお勧めです。
スマホ認知症を予防するためには、まず脳を休ませる時間を意識的に作ることが重要です。日常的にスマートフォンを操作し続けることで脳が常に働き続け、疲労が蓄積します。そのため、意図的にスマホを手放し、リラックスできる環境を整えることが効果的です。たとえば1時間ごとに短い休憩を取る、夜の特定の時間帯にはスマートフォンを使用しないといった習慣が脳の休息を助けます。この方法は気軽に始めることができるスマホ認知症対策としておすすめです。
マルチタスクをやめて一つに集中してみる
現代人は忙しく、複数の作業を同時に進める場面が増えています。しかし、このようなマルチタスクの習慣は、実は脳に大きな負担をかけやすい行動です。人間の脳はもともと同時に多くの情報を処理することが得意ではなく、処理できる量には限界があります。作業を並行して進めようとすると、注意や思考の切り替えが頻繁に起こり、脳はすぐに疲弊してしまうでしょう。
脳を疲れさせたり悩ませたりするようなことはなるべく一本化し、一つのタスクに集中できるようにしてみませんか?また、スマホの中見を整理して使わないアプリやタスクを減らしてみても良いでしょう。アレコレ欲張らず、できるだけ目の前のことに集中する習慣が理想的かもしれません。
一日5分、ぼんやりする時間を持つ
最後にお勧めするのは、ぼんやりすることです。私たちの脳の機能にはデフォルト・モードネットワークというのが備わっていて、近年の研究によると脳の健康のためにはぼんやりする時間が欠かせません。何もせずにボーっとしているように見えても、実はデフォルト・モードネットワークを稼働してぼんやりしているときは、活動時の脳の15倍ものエネルギー消費です。
ぼんやりする時間は、これからの自分をシミュレートしたり過去の記憶や経験を整理・統合したり、自分の状況を分析したりなど様々です。いわばこれからの自分をより良いものにするための準備の時間と言えます。
ぼんやりするのは案外難しく、たった5分であっても最初はとても長く感じるでしょう。しかし、日々行って慣れてくれば時間や回数を増やしていけるようになります。ぼんやりする時間は無駄な時間ではなく、私たちを豊かにしてくれる時間なのです。
まとめ
現代社会では、スマホは私たちの日常生活に欠かせない存在です。しかし、その利便性の裏には、過度な使用による「スマホ認知症」と呼ばれる新たな健康問題が潜んでいることを忘れてはなりません。情報を得るための手段が豊富になった反面、私たちの脳はいまだかつてないほど多くの負荷を抱えるようになったでしょう。その結果、認知力の低下や、ストレスの増加といった影響が指摘されています。このような背景を踏まえ、スマホに対する意識改革が必要です。私たちはより良い習慣を実践することでスマホと適切な距離感を保ちながら、心身ともに健康なデジタルライフを築いていきましょう。