
書く瞑想“ジャーナリング”とは⁉こころに名前を付けて整えよう
はじめに

「最近、なんとなくモヤモヤする」
「頭の中がごちゃごちゃして整理できない」
——そんなふうに感じることはありませんか?
気持ちがうまく言葉にできないとき、
誰かに話すのが難しいとき、
そんなときに役立つシンプルな方法があります。
それが「ジャーナリング」です。
難しい技術も、特別な道具も必要ありません。
ノートとペンさえあれば、今日からでも始められる方法です。
ジャーナリングとは何ですか?

ジャーナリングとは、自分の思ったことや感じたことを、そのままノートに書き出す習慣のことです。
日記とは少し違い、日記は「今日あったこと」を記録するものに対し、ジャーナリングは「今の自分の気持ちや考え」を自由に書き出すことを大切にします。
🌱 ジャーナリングの成り立ち
Pennebaker & Beall (1986)の論文が、ジャーナリング(表現的筆記)研究の出発点となったと言われています。46名の大学生を対象に、4日間、1日15分のトラウマ体験についての筆記を行わせたところ、対照群と比べてその後数ヶ月間の医療機関受診回数が有意に少なかったことが示される結果でした。
その後も多くの研究の参考や引用に使われることの多かった論文ですが、研究の出発点はトラウマそのものではなく、「それを誰にも話さず隠していること」が問題であるという発見になります。
秘密を抱える人は身体症状や受診率が高いという前提です。そのため、感情や思考を抑え続けること自体がストレスになる「抑制」が健康に影響するという仮説から、それを開放する方法が生み出されました。
📝 ポイント
研究当初は「感情を抑えることがストレスになる」という仮説でしたが、現在は認知的再構成モデルにシフトしています。
つまり―――、
“出来事を言語化することで意味づけが進む”
“認知的整理をする”
と言うのがポイントです。
そのため、正しく書く必要はありません。
文法や言葉づかいも気にしなくて大丈夫。
誰かに見せるものでもないので、思ったことをそのまま書くようにしましょう。
ジャーナリングで期待できる効果
ジャーナリングは、心理学や精神医学の研究でも、こころの健康に役立つことが報告されています。
① 気持ちが整理される
原因はよくわからないけれど何となく不安、という感覚は誰にでもあるものです。自分では気が付かなくても、将来や今の環境について無意識に頭の中でぐるぐる考えてしまうかもしれません。ジャーナリングはそうした気持ちを文章にすることで、不安の正体を明確にし、これからどうすればよいかの手がかりにもなってくれるでしょう。
頭の中にある不安やモヤモヤを書き出すことで、「自分は今こんな気持ちなんだ」と気づきやすくなります。言葉にすることで、感情が少し落ち着くのではないでしょうか。
② ストレスが和らぐ
自分の感情を抑え込んだままでいると、気が付かないうちにストレスを溜め込んでしまいます。我慢せずに外に出すことで心の緊張がほぐれやすくなりますが、中々素直になれないのではないでしょうか。
SNSへの投稿や家族・友人への相談では、相手の反応を気にして伝える内容を無意識に選んでいるかもしれません。その点、ジャーナリングは誰かに見せる必要がないため、人には言えないようなどんなネガティブな内容も素直に書き出せるでしょう。誰にも言えないことでも、ノートになら正直に書いて、日々のストレスを発散する場として活用できます。
③ 自分のパターンに気づける
頭の中だけで考えていると、本当は自分がどんな気持ちなのか分かりにくくなります。その状態に気が付かないまま誰かに相談しても、わかりにくくて上手く説明できないことがあるでしょう。
ジャーナリングでは文章の前後関係を気にせず思いのままに書いていくため、「自分はどんなときに落ち込みやすいか」「何に対してつらいと感じるか」といった自己分析がしやすくなります。
自分の感情が揺らぎやすいパターンや考え方の癖を知っておくことで、落ち込んだときの立ち直り方も見つけやすくなります。自分を知ることは、回復への第一歩です。
ジャーナリングの始め方

やり方はとてもシンプルです。以下のステップを参考にしてみてください。
STEP 1 環境の準備
まずは、自分がリラックスできる環境を整えるべきです。十分な空き時間を用意し、心が落ち着く場所で好きな曲や飲み物を用意して始めましょう。
ジャーナリングに使うのはノートとペンだけです。その際には気分が上がるお気に入りのデザインのものを使いましょう。スマホのメモアプリでも構いませんが、手書きの方が気持ちが出やすいという方も多いです。
STEP 2 頭に浮かんだことを自由に書く
制限時間を決めて、頭に浮かんだことを自由に書き出していきましょう。毎日同じ時間帯に書くと習慣になりやすいので、朝・夜の5〜10分からで十分です。
書く内容や意味などは気にせずに書いていき、文章の内容や方向性が変わっても問題ありません。ノートのページ全体を使ってのびのびと書き進めていくとよいでしょう。
「うまく書かなきゃ」と思わず、頭に浮かんだことを次々と書いていきます。「何を書けばいいかわからない」と思ったら、それをそのまま書いてもOKです。
STEP 3 書いた内容を読み返してみる
実は、書いたものを読み返す必要はなく、書くこと自体に意味があるのがジャーナリングです。しかし、あえて読み返していくことで、より自分の内面を理解することにつながり、不安やストレスに強くなる効果があります。
読み返すときは、書いた内容を通してそのときの自分の気持ちや本音を観察します。ただ書くだけでなく、書いた内容をチェックする手順を加えることで、書いた文章を客観的に見やすくなるでしょう。
自分の書いたもので気になった点や気付いたことがあれば、違う色のペンでメモをしておきましょう。文章化した自分の感情をより明確化できるでしょう。
何を書けばいいのかわからないときは…
・ 今、どんな気持ちですか? 体はどんな感じがしますか?
・ 今日、気になったこと・ひっかかったことはありますか?
・ 最近、何に疲れていますか?
・ ちょっとでも「よかった」と思えたことはありますか?
・ 今の自分に、どんな言葉をかけてあげたいですか?
おわりに
ジャーナリングは、自分の気持ちに気づき、こころを少し楽にするための方法のひとつです。特別な知識は必要なく、今日から始められます。焦らず自分のペースで行い、うまく書けなくても大丈夫です。書こうとしただけで、あなたはすでに一歩を踏み出そうとしています。
自分のこころを大切にすることは、回復への大事な一歩です。「感謝日記」として、毎日ひとつだけ「よかったこと」を書くだけでも効果があると言われています。
うまくいかないときも大丈夫です。書こうとしてつらい記憶が出てきて辛さをと感じる場合は、無理をしないようにしましょう。医療機関に相談したり、心を許せる相手に打ち明けたりしてみても良いでしょう。
参考文献
https://www.researchgate.net/publication/19415586_Confronting_a_Traumatic_Event_Toward_an_Understanding_of_Inhibition_and_Disease
https://cssh.northeastern.edu/pandemic-teaching-initiative/wp-content/uploads/sites/43/2020/10/Pennebaker-Expressive-Writing-in-Psychological-Science.pdf
https://hands.net/hintmagazine/stationery/2312-journaling.html?srsltid=AfmBOopvnJRYEt2cxovY19Wi0A_gWMjzhBYk0KjPH5okoGJV9uA_aSwX
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0308928
