
「ストレッサー」との向き合い方①
嫌なこと、しんどいこと、ストレスを感じる要因のことを「ストレッサー」と言います。 日々の日常で、「ストレッサー」がないことが理想ですが、なかなか難しいですよね? 「ストレッサー」との向き合い方は、実はひとつではないのです。 考え方のヒントをお話ししましょう。
なぜ「ストレッサー」が生まれるのでしょうか?
前回の記事にて紹介した「ストレッサー」について、改めておさらいしておきましょう。
①物理的ストレッサー:暑さ 寒さ 騒音など
②化学的ストレッサー:たばこの煙 強い匂いなど
③心理・社会的ストレッサー:人間関係や仕事上の問題、家庭の問題など
④生物的ストレッサー:病気 花粉など
これらに共通する特徴は、物理的に生じていることを、ご自身がどう捉えるか、という点です
少し例を上げてみましょう。
①物理的ストレッサーの暑さ寒さの捉え方、ご承知の通り、人それぞれですね。冬に半袖で過ごしている強者が、無理をしているのか、本当に何も感じていないかは謎ですが。
②化学的ストレッサーのたばこの煙、禁煙者には不快ですが、喫煙者は何も感じなかったり、場合によっては、良いにおいと感じるかもしれません。
④生物的ストレッサーの代表格の花粉、同じ花粉症でも症状の出方は様々ですし、花粉が飛んでいるのに、何も感じない羨ましい人もいます(金魚ばちはそれなりの花粉症でツラいのです)
さすがに病気は全員が「ストレッサー」でしょ?と思われがちですが、違うようです。闘病記など「病気になってよかった」などポジティブに反応されている場面に出会われたことはありませんか?
となると③も同じです。
どのように受け取るかにより、「ストレッサー」として、あなたをむしばむのか、別の良い面として受け取るかは、あなた自身で決めることが出来ます。
だから、これらに共通する特徴は、物理的や精神的、生物学的、化学的に生じていることを、ご自身がどう捉えるか、なのです。
なぜ「ストレッサー」と感じるのでしょうか
ズバリ!あなたにとり、それは、あなたがとても大切にしている「あなた自身」を示す「何か」を否定されたと感じるからです。
あなたが大切にしている、あなた自身の価値感や、判断の基準、あなたが大切にしている人やモノ、を、意図も簡単に潰されたと感じたとき、「ストレッサー」として、その事柄が認識されます。
ということは
「考え方を変えればストレスを失くせるってこと?そんなの無理!」とか
「心の持ちようで、解決できるとは限らない!」との皆様のお怒りの声が聞こえてきました。
おっしゃることはごもっともですし、私も今もそう思います。
なぜなら、私もかつては、多くの「ストレッサー」により、潰されかかった経験があるからです。
ただ、誤解を恐れずにお話しすれば、世の中にある、あらゆる事柄で、ご自身で調整できない事柄は、「ストレッサー」の「卵」と言えるのです。
さらに、ご自身の意思で調整できる事柄でさえも、時に「ストレッサー」の「卵」です。
だから、人により、「ストレッサー」と認識する事柄が異なり、実に多彩で難問なのです。
「ストレッサー」との向き合い方①
では、「ストレッサー」とはどのように向き合うことが良いのでしょうか。
「ストレッサー」を対処できるとき、人は「ストレッサー」と捉えず、ストレスがあると感じなくなります。
様々な向き合い方がありますので、まずは一つ。
「ストレス関連成長」という考え方があります。
ストレスを受けた後に3つの側面で起こるポジティブな変化のことです。
①社会的資源の強化:人間関係が成長し、新たなネットワークが構築される
②個人的資源の強化:認知、知能、事故への信頼、理解、価値観、自分の優先順位が変化、強化される
③新たな対処スキルの獲得:問題解決・支援探求スキル、感情の調整、コントロール能力の変化
つまり、「ストレッサー」と向き合うときに、自分自身が最後に得をする!、と考えて積極的に解決しようとする姿勢です。
主に 「ストレス関連成長(Stress-Related Growth, SRG)」 の研究をしている東京未来大学の川原正人の研究をご紹介します。
実際にどのように「ストレッサー」と人が向き合うのかを、当事者にインタビューして傾向を分析しました。
ストレス体験(ストレッサーと向き合うことになる)をしたことにより
①ネガティブ心理 「ストレッサー」につぶされそうになる体験
↓
②気づき:つぶされそうになっている自分に気づく
↓
③サポート:様々な人との交流から、ストレス体験を受容できるようになる
↓
④チャレンジ:自分自身がどうありたいかを考え、「ストレッサー」に立ち向かう
↓
⑤変容:「ストレッサー」が「ストレッサー」として認識しない状態になる。
全ての人が、このすべての変遷をうけるとは限らないものの、このような経緯を経るとされています。
つまり、落ち込むけれど、落ち込んだままで終わらずに、その自分に気づくことができることが、立ち直りへのきっかけとなる、という考え方です。
ストレス対処力(Sense of Coherence;SOC)とは
SOCは、健康生成論の要の概念です。
以前は「首尾一貫感覚」と言われていました。最近の研究者は「ストレス対処力」として表現しています。
良好な健康状態を生成する力を持つ健康生成論の中核概念、中心となる考え方です。
人生経験により生涯成長しつづけると言われています。
SOCが高い人は、健康的に生きており、最近はやりのウェル―ビーイングが高い、という考え方です。
いずれ、ゆっくりこの概念について、お話したいと思います。
ストレス対処力(Sense of Coherence:SOC)と「ストレス関連成長」との関係
「ストレス関連成長」は、お分かりのとおり、一方通行の働きです。
原因があり、対処して、結果が生じます。
「SOC」は、「ストレス関連成長」の仕組みを底辺で支えています。
少し分かりにくいと思いますが、SOCは何が「ストレッサー」なのかを、明確にせずに、「ストレッサー」に限定せず、あらゆる物事の捉え方と対処の仕方を示しているのです。
だから「ストレス関連成長」の流れに沿い「ストレッサー」を解決するとき、実はSOCの考え方を応用しています。
おまけの効果として、「ストレス関連成長」の流れで、ある「ストレッサー」を解決したとき、SOCそのもの成長に影響を与え、類似した「ストレッサー」を「ストレッサー」として認識しづらくなります。
だから「ストレッサー」と認識しなければ、ストレスを感じていない状態、つまりストレスのない生活が過ごせるようになるわけです。
おさらいしておきましょう
さて、今回は少し難しいお話でした。
日頃感じる様々な「ストレッサー」には種類があること、そして、人により「ストレッサー」と感じるかどうかは、かなりの個人差があることはお分かりになりましたでしょうか。
何か不満や辛さがあったとき、何が「ストレッサー」となっているか気づくことが出来るかどうかが、その後の流れを大きく変えます。
何が自分を苦しめているかは、なかなかお一人では分かりにくいもの、そんなときは、是非呟いてみましょう。
言葉は言霊、文字にして眺めるだけでも、落ち着くものです。
ついでに誰かに読んでもらうと、ご自身でも気づかない、「ストレッサー」が見つかるかもしれません。
声を上げる勇気を応援しています。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tfu/10/0/10_27/_article/-char/ja/
